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篠原 孝司; JT-60チーム
Journal of the Korean Physical Society, 49, p.S56 - S62, 2006/12
JT-60の最新の研究成果として、高ベータ放電(規格化ベータ2.3)を長時間(電流緩和時間の約13倍)維持したこと,長時間放電に伴う粒子の壁飽和の観測などについて報告する。また、現在設置が進行中であり、最新のプロジェクトであるフェライト鋼設置によるトロイダル磁場リップル低減について、その位置づけ・効能,設計検討について発表する。その際、このプロジェクトに影響を与えたJFT-2Mにおけるフェライト鋼設置に関する先駆的成果についても報告する。
都筑 和泰; 佐藤 正泰; 川島 寿人; 伊世井 宣明; 木村 晴行; 小川 宏明; 宮地 謙吾; 山本 正弘; 柴田 孝俊
Journal of Nuclear Materials, 307-311(Part2), p.1386 - 1390, 2002/12
被引用回数:15 パーセンタイル:67.86(Materials Science, Multidisciplinary)低放射化フェライト鋼は原型炉の構造材の候補材料であるが、強磁性体であるため、閉じ込め,安定性の劣化が懸念されている。そのため、プラズマへの適用性を実証していくことが不可欠であり、JFT-2Mにおいては三段階で試験を進めることになっている。これまでに第二段階であるフェライト鋼板の真空容器内部分的設置による適合性予備試験を終了したが、プラズマに対する悪影響は観測されておらず、トロイダル磁場リップルの低減が可能であるなど、むしろプラズマの改善に役立つことが実証されている。第三段階では、リップルの理想的な低減と、プラズマ安定性への影響のさらなる理解を目標にフェライト鋼板を真空容器内に全面的に設置することになっており、現在設置工事を行っている。また、リップルの実測、及び誤差磁場の計測のため高精度の磁場計測器を開発し、設置前の磁場測定まで終了した。リップル率,誤差磁場成分とも十分な精度で参照データを取得できた。
逆井 章; 石田 真一; 松川 誠; 栗田 源一; 秋野 昇; 安藤 俊就*; 新井 貴; 市毛 尚志; 神永 敦嗣; 加藤 崇; et al.
Proceedings of 19th IEEE/NPSS Symposium on Fusion Engineering (SOFE), p.221 - 225, 2002/00
コイルの超伝導化を主体とするJT-60改修の工学的設計研究を行った。JT-60改修の目的は、原型炉の経済性・環境適合性向上を目指した高性能プラズマの定常運転技術、及び低放射化材料の利用技術の確立である。JT-60改修では、定常化運転に向けて高プラズマ制御,高性能・高自発電流プラズマ制御,ダイバータ熱・粒子制御,ディスラプション制御に関する研究課題が設定された。これを実現するために必要な装置,機器の検討を行った。トカマク放電を長時間(100秒)維持するために必要な超伝導トロイダル磁場コイル(TFC)には、高銅比4のNbAlケーブル・イン・コンジット導体を採用することにより高い電流密度の性能が得られ、コンパクトなTFCの設計を可能にした。また、低放射化フェライト鋼製の安定化バッフル板やリップル低減用フェライト鋼の配置及び直接冷却ダイバータ構造体等を検討した。
木村 晴行; 佐藤 正泰; 川島 寿人; 伊世井 宣明; 都筑 和泰; 小川 宏明; 小川 俊英; 三浦 幸俊; 山本 正弘; 柴田 孝俊; et al.
Fusion Engineering and Design, 56-57, p.837 - 841, 2001/10
被引用回数:14 パーセンタイル:68.97(Nuclear Science & Technology)低放射化フェライト鋼(F82H)のプラズマへの適用性試験(先進材料プラズマ試験)がJFT-2Mで進展している。真空容器とトロイダル磁場コイルの間にフェライト鋼板を挿入することによりトロイダル磁場リップル低減を実証した(第1段階)。第2段階ではフェライト鋼板を真空容器の内部に部分的に設置してプラズマへの適合性を予備的に調べており、これまでのところフェライト鋼の強磁性や真空特性がプラズマに及ぼす悪影響は観測されていない。フェライト鋼板のプラズマ-壁相互作用の改善のためボロンコーティングを実施した。プラズマ密度の上限はフェライト鋼板設置後、ボロンコーティングを行うことにより1.6倍以上に増加した。真空容器内壁を全面的にフェライト鋼化してプラズマとの適合性を本格的に調べる試験(第3段階)のための設計と準備が進行中である。
川島 寿人; 佐藤 正泰; 都筑 和泰; 三浦 幸俊; 伊世井 宣明; 木村 晴行; 中山 武*; 阿部 充志*; Darrow, D. S.*; JFT-2Mグループ
Nuclear Fusion, 41(3), p.257 - 263, 2001/03
被引用回数:37 パーセンタイル:72.57(Physics, Fluids & Plasmas)JFT-2Mでは先進材料プラズマ試験(AMTEX)計画として低放射化フェライト鋼(F82H)のプラズマへの適用性を研究している。第1段階として、フェライト鋼板(FB)をトロイダル磁場コイルと真空容器の間に挿入してトロイダル磁場リップルの低減を試験した。その結果、FB装着によってリップル率及びリップルによる高速イオン損失が明らかに低減されることがわかった。特にFB厚の最適化によって肩部のリップル率を0.07%まで下げられ、リップル捕捉によるイオン損失をほぼ零にできた。現在、FBを真空容器内部に部分的に設置し、プラズマへの適合性を予備的に調べている(第2段階)。これまでのところ、FBの強磁性によるプラズマ制御・安定性への悪影響や不純物放出等に関する問題点は見られておらず、かつ、高プラズマとの両立にとって有望な結果が得られている。
川島 寿人; 都筑 和泰; 谷 孝志; 佐藤 正泰; 木村 晴行; JFT-2Mグループ
Review of Scientific Instruments, 72(1), P. 919, 2001/01
高速イオン損失の原因となるトロイダル磁場リップルを低減するため、JFT-2Mにフェライト鋼板(FB)を設置した。FBの効果を評価するため、高空間時間分解能を持つ2次元赤外線カメラ(IRTV)システムを開発した。IRTV本体は、時間分解能1/60秒、測定可能温度範囲0-500を有す。検出部分には、3~5mの赤外線に感度を持つPtSi素子が256256個並べられている。第一壁を見込むための光学系構成を簡素化(レンズ、反射鏡、サファイア真空窓各1枚)し、カメラ位置から壁までの距離を3.5mまで短くして高空間分解能約3mmを得た。これを用いて、NBI加熱中、リップル捕捉損失イオンによる局所的温度上昇を観測することができ、FB装着前には、最高上昇温度Tが約75まで達した。FB装着後、Tは明らかに減少し、最適条件では温度上昇がほぼ零になってFBの高速イオン損失低減効果を明らかにできた。
佐藤 正泰; 川島 寿人; 三浦 幸俊; 都筑 和泰; 木村 晴行; 上原 和也; 小川 俊英; 伊世井 宣明; 谷 孝志; 秋山 隆*; et al.
Fusion Engineering and Design, 51-52(Part.B), p.1071 - 1076, 2000/11
被引用回数:15 パーセンタイル:68.65(Nuclear Science & Technology)JFT-2Mでは、低放射化フェライト鋼(FS)にかかわる先進材料プラズマ試験を段階的に進めている。この計画の第一期として、FSを用いて、リップルの少ないトロイダル磁場を生成し、高エネルギーイオンの損失を低減するリップル低減試験があり、その設計指針と初期結果について述べる。フェライト鋼板(FB)を全トロイダルセクションに渡って、真空容器(VV)とトロイダル磁場コイル(TFC)の間に装着した。フェライト鋼装着により、プラズマ周辺でトロイダル磁場リップルは2.2%から1.1%に減少した。赤外TV測定によれば、接線方向NBI加熱時のリップル捕捉粒子による壁の温度上昇領域はFB装着することにより、外側へ縮小し、温度上昇は60度から25度へ減少した。バナナドリフト粒子による温度上昇は150度から115度へ減少した。フェライト鋼装着によるプラズマ生成や制御に悪い影響は観測されていない。
川島 寿人; 佐藤 正泰; 都筑 和泰; 三浦 幸俊; 木村 晴行; 谷 孝志; 井戸 毅; 伊世井 宣明; 小川 俊英; 上原 和也; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 76(6), p.585 - 592, 2000/06
JFT-2Mではフェライト鋼板(FB)をトロイダルコイルと真空容器の間に設置し、リップル低減化試験を実施している。磁場構造の計算及び磁気プローブ計測から、FB装着でリップル率が2.2%から1.1%に減少したことが実証された。高速イオンの損失を評価するため赤外線カメラで第一壁の温度を測定した。FB装着後、リップル捕捉損失領域の温度上昇は75から50に減少した。温度変化を熱負荷に換算すると、リップル捕捉損失パワーが半減したことがわかった。さらにプラズマ電流、トロイダル磁場、プラズマ位置を変化させ、リップル捕捉損失の安全係数、リップル率の依存性を調べ理論と矛盾しない結果を得た。そのほか、閉じ込めへの影響として、FB装着後Hモード中のトロイダル方向プラズマ回転が周辺で約2倍に速くなるなど良好な結果がもたらされた。
都筑 和泰; 佐藤 正泰; 川島 寿人; 三浦 幸俊; 木村 晴行; 阿部 哲也; 上原 和也; 小川 俊英; 秋山 隆*; 柴田 孝俊; et al.
Journal of Nuclear Materials, 283-287, p.681 - 684, 2000/00
被引用回数:12 パーセンタイル:62.16(Materials Science, Multidisciplinary)低放射化フェライト鋼は、次世代の核融合装置の候補材料の一つである。フェライト鋼は強磁性体であるという点で従来の材料と大きく異なる。これまで強磁性体は閉じ込め磁場を乱すと考えられていたが逆に磁性を利用してトロイダル磁場リップルを低減し、プラズマを改善することが期待されている。JFT-2Mでは、実際にフェライト鋼を挿入し、効果を実証する実験を行っている。現在はフェライト鋼を真空容器の外部に設置し、リップル低減の効果を調べている。その結果、高速イオンのリップル損失量はほぼ半減することが示された。また、閉じ込め、制御に関しては悪影響はなかった。これらのことから低放射化フェライト鋼はプラズマ改善の面からも有望であることが実証された。次の段階としてフェライト鋼を真空容器の内部に入れる実験を計画中であり、不純物抑制のための表面処理の研究も進めている。
中山 武*; 山本 正弘; 阿部 充志*; 柴田 孝俊; 大塚 道夫*; 秋山 隆*; 佐藤 勝利*; 菊池 一夫; 和田 豊*; 小池 常之; et al.
Proceedings of the 18th IEEE/NPSS Symposium on Fusion Engineering (SOFE '99), p.227 - 230, 1999/10
高性能トカマク開発試験装置(JFT-2M)では、将来の炉構造材料の候補である強磁性体の低放射化フェライト鋼F82H(以下フェライト鋼と記す)を用いた先進材料プラズマ試験計画を段階的に進めている。第1段階のリップル低減試験では、フェライト鋼板を真空容器の外部に設置して、トロイダル磁場リップルの低減を図る。本発表は、このフェライト鋼板の機械設計に関するものである。フェライト鋼板の形状は、各トロイダルセクション毎に決定し、ポート、計測器、ベーキングヒータ等を避けた中で最もリップルを低減できる構造とした。フェライト鋼板は、トロイダル磁場コイルケースから支持し、支持構造は可能な通電パターンすべてに対する電磁力を考慮して決定した。また、板厚はトロイダル磁場強度に応じて可変とした。設置後に電磁力試験を実施し、支持具の健全性を確認できた。フェライト鋼板の設置により、トロイダル磁場リップルの基本モードを2.1%から0.8%に低減できた。
佐藤 正泰
プラズマ・核融合学会誌, 75(7), 883 Pages, 1999/07
プラズマ・核融合学会誌における用語解説である。フェライト鋼壁材料は、将来の核融合炉のブランケット第一壁構造材料として、有力候補である低誘導放射化フェライト鋼を指す。低誘導放射化フェライト鋼は、低放射化、熱伝導性、耐照射性等の特性を有しており、核融合炉構造材料の候補の一つになっている。しかしながら、フェライト鋼は強磁性体であり、フェライト鋼が作り出す不整磁場がプラズマ生成・制御及び閉じ込め特性に悪い影響を与えることが懸念されている。低誘導放射化フェライト鋼を実用化するまでには、中性子照射による材料特性変化、フェライト鋼による不整磁場、トロイダル磁場リップル低減の実証等の評価に加えて、フェライト鋼-プラズマ壁相互作用の究明等の課題がある。
木村 晴行
プラズマ・核融合学会誌, 75(6), p.758 - 759, 1999/06
JFT-2Mの研究活動を促進するとともに、核融合炉を見越したプラズマ理工学研究を推進するため、大学等との研究協力を広く開かれた形態で推進しようという構想があり、平成11年度からその本格的な実施を検討している。そのような状況の下に、平成10年度にJFT-2Mにかかわる委託研究・調査,協力研究を担当した大学等の研究者に出席を依頼し、平成10年度のJFT-2Mにおける実験・研究,委託研究・調査,協力研究の結果のレビューを行うとともに、平成11年度のJFT-2M実験計画や研究協力の進め方につき議論を行った。その概要を報告する。
佐藤 正泰; 三浦 幸俊; 木村 晴行; 川島 寿人; 仙石 盛夫; 山本 正弘; 小池 常之; 柴田 孝俊; 秋山 隆*; 阿部 充志*; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 75(6), p.741 - 749, 1999/06
JFT-2Mでは、低放射化フェライト鋼(FS)にかかわる先進材料プラズマ試験を行う計画である。これはFSを用いてリップルの少ないトロイダル磁場を生成し、高エネルギーイオンの損失を低減するリップル低減試験と、強磁性体であるFSによる不整磁場がプラズマに与える影響を調べるフェライト鋼のプラズマ適合性試験からなる。これら先進材料プラズマ試験計画の全容について述べる。特に、前者では基本モードのリップルのみならず2倍のモード数のリップル低減の重要性を指摘し、その実現のためのFS設置法を明らかにした。後者ではJFT-2Mの真空容器をフェライト鋼製のものに改造するための設計検討を行っており、フェライト鋼のプラズマ平衡への影響は小さいことなどを明らかにした。
佐藤 正泰; 三浦 幸俊
プラズマ・核融合学会誌, 74(5), p.448 - 454, 1998/05
将来の原型炉以降の核融合炉材料の候補に低放射化材フェライト鋼がある。JFT-2Mでこのフェライト鋼を用いた先進材料プラズマ試験(AMTEX)を行う計画である。この計画は、トロイダル磁場リップル低減試験とフェライト鋼-プラズマ試験からなる。トロイダル磁場リップル低減試験は、国際熱核融合実験炉(ITER)における粒子と高速中性粒子入射(NBI)粒子の損失低減の課題を、フェライト鋼とプラズマとの整合性試験は、Hモードのような高性能閉じ込めプラズマへのフェライト鋼の影響を、評価する。現在までに得られた数値解析によれば、真空容器近くにフェライト鋼を適切に設置することにより、プラズマ領域全体に渡ってリップル率は減少し、プラズマ境界で1.8%から0.8%へ減少する。フェライト鋼製真空容器に現実的なポートを設置した場合も同様に、リップル率を低くすることができる。この計画の現状と課題について述べる。
佐藤 正泰; 三浦 幸俊; 木村 晴行; 山本 正弘; 小池 常之; 中山 武*; 長谷川 満*; 浦田 一宏*
Fusion Technology 1998, 1, p.545 - 548, 1998/00
JFT-2Mでは、フェライト鋼(FB)を用いてリップルの少ないトロイダル磁場(TF)を生成し、リップル捕捉粒子の損失を低減する先進材料プラズマ試験を行う計画である。今までの解析によれば、FBを真空容器(VV)とTFコイル(TFC)の間に全セクション設置することにより、リップルは下がり、プラズマ周辺では磁場構造が著しく変化し、TFCの数(NTF)の2倍のトロイダルモード数(STM)の磁場が発生することが分かっている。このSTMはリップル捕捉粒子の輸送に対して悪い影響を与えることが予測され、STMを抑えつつ、NTFのモードを減らすことが必要であり、それには、FBをVVより遠ざけて厚いFBを設置することによって可能であることが分かった。又FBを1~2箇所のトロイダルセクションに挿入した予備的な実験を行った。この場合、プラズマ生成や閉じ込めに悪い影響は見られていない。
佐藤 正泰; 三浦 幸俊; 竹治 智; 木村 晴行; 芝 清之
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.1253 - 1258, 1998/00
被引用回数:17 パーセンタイル:77.77(Materials Science, Multidisciplinary)フェライト鋼によるトロイダル磁場(TF)リップル低減化とプラズマ特性への影響を調べるために、JFT-2Mにおいて先進材料プラズマ試験が計画されている。2つのタイプの真空容器(VV)について数値解析による研究を行った。一つはフェライト鋼板(FB)付非磁性体製VVであり、もう一つはフェライト鋼製VVである。数値解析の結果によれば、VV近くにFBを適切に設置することにより、低磁場側のプラズマ領域全体に渡ってリップル率を減少させ、プラズマ境界で1.8%から0.6%へ減少させることができる。フェライト鋼製VVに現実的な水平ボートを設置した場合、非磁性体製VVに比べて、リップル率を低くすることができる。